2021.10.9

盃つまんで Vol.14

九月二十一日、十五夜、仲秋の名月はほんとうにきれいだった。夜に仕事を終えて出た道の東は下り坂で、遠い高層ビルの上、雲が全くない夜空に、ややピントの合わない目にも、兎の餅つきがわかる。
歩き始めた帰り道の南は崖地になってぐっと下がり、遠く五反田の高層ビルの灯が、真っ暗な空を背にいくつも見え、その高くにぽっかりと満月が浮かぶのはいかにも都会の秋だ。暗がりに立って飽かず眺めた。

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