2022.08.17

盃つまんで Vol.34

新聞の美術展案内に懐かしい名を見つけた。
樺島勝一(一八八八~一九六五)。小学二年のころ父が時々買ってくれた雑誌「少年クラブ」に夢中になり、その巻頭綴じ込みの樺島勝一のペン画に見とれた。木漏れ日が燦々とさす森を見上げるように描いた「耶馬渓」は今も忘れない。大分県にあるむずかしい地名をこれで憶えた。その展覧会とはうれしい。九段にある「昭和館」の特別企画「SF・冒険・レトロフィーチャー×リメイク~挿絵画家 樺島勝一と小松崎茂の世界~」だ。
大正三年、講談社が創刊した子供向け雑誌「少年倶楽部」に昭和五年から連載が始まった山中峯太郎の軍事冒険小説「敵中横断三百里」の臨場感あふれる樺島の挿絵は大評判となり、続く「亜細亜の曙」で一躍花形挿絵画家となる。

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