2022.10.5

盃つまんで Vol.36

同居する妻の母は九十歳、耳が遠いくらいで健康なのがありがたく、気候もよくなってたまには外に連れ出そうと、銀座の資生堂パーラーに昼食に出かけた。白いテーブルクロスでオムライスなどいただいていると、隣の席にお座りの女性二人の一人から声をかけられた。
「宣伝部にいた太田さんじゃありません?」
その方は同じ資生堂本社におられた方で、四〇年ぶりなのに憶えてくれていた。結婚されて姓も変わり、昔を懐かしんだあと近況を尋ねると、定年ちかくなってからシャンソン教室に入って勉強され、なんと今は歌手としてときどきステージに立っているそうだ。

– – – – – – – この続きを見るには – – – – – – –

TOPページ「太田酒俱楽部公式オンラインマガジン」からご登録をお願いします。